FX初心者の方は、デモトレードで練習しても実際のお金を使うリアル口座では緊張して思うように動けないことがよくあります。そんな悩みを解決するのが「スクラッチトレード」という練習方法です。この記事では、スクラッチトレードの基本から実践方法まで、FX初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
スクラッチトレードの基本概念
スクラッチトレードとは何か
スクラッチトレードとは、「エントリー後、損益がプラスマイナスゼロになったらすぐに決済する」という特殊なトレード練習方法です。簡単に言えば、取引を始めた後、為替レートがスプレッド分だけ動いて損益が±0になった時点で、すぐに取引を終了させるというものです。
たとえば、ドル円を買いで100円からエントリーし、スプレッドが3pipsだとすると、最初は3pips分の含み損を抱えた状態からスタートします。そこからレートが100.03円まで上昇して損益がゼロになったら、すぐに決済するのです。
一見すると「何のために取引しているのか」と思われるかもしれません。確かに、このトレードでは利益は出ませんし、場合によっては小さな損失が出るだけです。しかし、これこそがFX初心者にとって非常に価値のある練習方法なのです。
なぜFX初心者に効果的なのか
スクラッチトレードがFX初心者に効果的な理由は、実際のお金を使いながらも、リスクを最小限に抑えて取引の基本を身につけられるからです。
多くのFX初心者は、デモトレードでは冷静に判断できても、実際にお金を投入すると感情が先行してしまい、計画通りのトレードができなくなります。「もう少し待てば利益が増えるかも」と欲が出たり、「損切りするのがもったいない」と損失を抱え続けたりするのです。
スクラッチトレードでは、あらかじめ「損益ゼロになったら決済」「逆行したら即損切り」というシンプルなルールが決まっています。このルールに従って繰り返し練習することで、感情に左右されない取引の習慣が自然と身についていきます。
池上彰さんが「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」と言うように、スクラッチトレードは複雑なFXの世界を、シンプルかつ実践的に学べる方法なのです。
通常のトレードとの違い
通常のトレードとスクラッチトレードには、いくつかの重要な違いがあります。
通常のトレードでは、利益を最大化するために「利益が出たらさらに伸ばす」「損失が出たら反転を期待して待つ」といった判断が求められます。こうした判断は初心者にとって非常に難しく、感情に流されやすいものです。
一方、スクラッチトレードでは判断する場面が最小限に抑えられています。「損益ゼロになったら決済」「逆行したら即損切り」というシンプルなルールに従うだけなので、感情に左右されにくいのです。
また、通常のトレードでは「いかに大きな利益を得るか」が目標になりますが、スクラッチトレードでは「いかに冷静に取引操作ができるか」「いかに規律を守れるか」が目標です。つまり、結果よりもプロセスに焦点を当てた練習方法と言えるでしょう。
スクラッチトレードのルール
基本ルール:損益ゼロで決済する
スクラッチトレードの最も基本的なルールは、「損益がゼロになったら即座に決済する」というものです。これは一見簡単そうに思えますが、実際にはかなりの自制心が必要です。
具体的な手順としては、まず通常通りエントリーポイントを見極めて取引を開始します。エントリー直後は、スプレッド分の含み損を抱えた状態からスタートします。そこからレートが動き、含み損がゼロになった瞬間(つまりスプレッド分だけプラス方向に動いた時点)で、迷わず決済ボタンを押すのです。
このルールを守ることで、「もう少し待てば利益が増えるかも」という欲望を抑え、冷静な判断力を養うことができます。また、決済のタイミングが明確なので、迷いが生じにくいというメリットもあります。
逆行したら即損切りする
スクラッチトレードのもう一つの重要なルールが、「レートが逆行したら即座に損切りする」というものです。具体的には、エントリー後にレートが予想と反対方向に動き、含み損が一定以上(例えば2〜3pips)になったら、すぐに損切りするというルールです。
多くのFX初心者が陥りがちな失敗の一つが、「損切りができない」ということです。「もう少し待てば戻るかも」と思って損切りのタイミングを逃し、結果的に大きな損失を被ってしまうケースが少なくありません。
スクラッチトレードでは、小さな損失で素早く損切りする習慣を身につけることができます。これは、将来的に本格的なトレードを始める際にも非常に役立つスキルです。
トレード判断を最小限にする理由
スクラッチトレードでは、トレード中の判断を最小限に抑えるようにデザインされています。これには明確な理由があります。
FX取引では、「利益を確定するタイミング」「損切りするタイミング」「ポジションを追加するかどうか」など、様々な判断を瞬時に行う必要があります。しかし、こうした判断は初心者にとって非常に難しく、感情に流されやすいものです。
スクラッチトレードでは、「損益ゼロになったら決済」「逆行したら即損切り」というシンプルなルールに従うだけなので、判断に迷う場面が大幅に減ります。これにより、感情に左右されずに冷静な取引を行う習慣を身につけることができるのです。
また、判断を最小限にすることで、トレードの基本操作(エントリー、決済、損切り)に集中できるというメリットもあります。基本操作に慣れることで、将来的により複雑な取引戦略に移行する際にもスムーズに対応できるようになります。
スクラッチトレードで得られる5つのメリット
実際の取引操作に慣れる
スクラッチトレードの最大のメリットの一つは、実際のFX取引の操作に慣れることができる点です。デモトレードでは体験できない、リアル口座での注文方法や決済操作を実践的に学ぶことができます。
FX取引では、「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」など様々な注文方法があり、それぞれ使い方が異なります。また、決済操作も含めて、取引ツールの使い方に慣れることは非常に重要です。
スクラッチトレードでは、同じ操作を短時間で何度も繰り返すため、自然と取引操作に習熟していきます。「どのボタンを押せば良いのか」「どの画面で確認すれば良いのか」といった基本的なことから、「スリッページはどの程度発生するのか」「約定までにどのくらい時間がかかるのか」といった実践的な知識まで、身をもって学ぶことができます。
心理的プレッシャーへの耐性をつける
FX取引において、実際のお金を使うことによる心理的プレッシャーは想像以上に大きなものです。デモトレードではうまくいっていたのに、リアル口座では全く違う結果になってしまう…そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
スクラッチトレードでは、実際のお金を使いながらも、リスクを最小限に抑えた状態で取引を行います。これにより、「お金を失うかもしれない」というプレッシャーに少しずつ慣れていくことができます。
具体的には、取引中の自分の心理状態や身体の変化に注意を向けてみましょう。「呼吸が浅くなっていないか」「手が震えていないか」「心拍数が上がっていないか」といった変化に気づくことで、自分がどの程度のプレッシャーを感じているかを客観的に把握できます。
こうした自己観察を繰り返すことで、徐々にプレッシャーに対する耐性がついていきます。そして、感情に流されずに冷静な判断ができるようになるのです。
トレード規律が自然と身につく
FXで成功するためには、「トレード規律」が非常に重要です。トレード規律とは、自分で決めたルールに忠実に従い、感情に流されずに取引を行う能力のことです。
しかし、この規律を身につけることは簡単ではありません。特に初心者は、「もう少し待てば利益が増えるかも」という欲や、「損切りするのがもったいない」という感情に流されやすいものです。
スクラッチトレードでは、「損益ゼロになったら決済」「逆行したら即損切り」というシンプルなルールに従って取引を行います。このルールは非常に明確で、守るべき基準が明確です。そのため、規律を守る習慣が自然と身についていきます。
また、スクラッチトレードでは短時間で多くの取引を繰り返すため、「ルールを守る」という行為自体が自動化されていきます。これにより、将来的により複雑な取引戦略に移行した際にも、規律を守る習慣が活きてくるのです。
損切りへの抵抗感が減る
FX初心者が最も苦手とするのが「損切り」です。「もう少し待てば戻るかも」と思って損切りのタイミングを逃し、結果的に大きな損失を被ってしまうケースが非常に多いのです。
スクラッチトレードでは、「逆行したら即損切り」というルールに従って取引を行います。このルールを繰り返し実践することで、損切りへの心理的抵抗感が徐々に減っていきます。
具体的には、「小さな損失で素早く損切りする」という行為を何度も繰り返すことで、損切りが特別なことではなく、トレードの一部であるという認識が身についていきます。また、小さな損失で素早く損切りすることの重要性を、身をもって理解することができます。
こうした経験を積み重ねることで、「損切りは失敗ではなく、資金を守るための重要な行為である」という認識が定着し、感情に流されずに適切なタイミングで損切りができるようになるのです。
FX会社の約定力とスプレッドを確認できる
スクラッチトレードのもう一つの大きなメリットは、利用しているFX会社の「約定力」と「実際のスプレッド」を確認できる点です。
約定力とは、注文がどれだけスムーズに通るかを示す指標です。特に相場が急変する場面では、注文が通りにくくなったり、スリッページ(注文価格と実際の約定価格の差)が大きくなったりすることがあります。
また、FX会社が公表しているスプレッドと、実際の取引で発生するスプレッドには差があることも少なくありません。特に、相場の変動が大きい時間帯や経済指標発表時には、スプレッドが大幅に拡大することがあります。
スクラッチトレードでは、同じような取引を短時間で何度も繰り返すため、FX会社の約定力やスプレッドの実態を把握することができます。これにより、自分に合ったFX会社を選ぶための判断材料を得ることができるのです。
スクラッチトレードの実践方法
準備するもの
スクラッチトレードを始めるにあたって、必要なものはそれほど多くありません。基本的には以下のものを用意しましょう。
- リアルFX口座:実際のお金を使って取引を行うため、リアルFX口座が必要です。初心者の方は、最低入金額が少なく、最小取引単位(最小ロット)が小さいFX会社を選ぶと良いでしょう。
- 資金:スクラッチトレードは小さなリスクで行う練習方法ですが、それでも実際のお金を使います。無理のない範囲で、失っても問題ない金額を用意しましょう。
- 取引ツール:FX会社が提供する取引ツール(MT4/MT5やオリジナルツールなど)を使用します。事前に基本的な操作方法を確認しておくと良いでしょう。
- トレード記録用のノート:トレードの記録をつけることで、自分の成長を確認することができます。日付、時間、通貨ペア、エントリー価格、決済価格、損益、気づいたことなどを記録しましょう。
これらの準備ができたら、いよいよスクラッチトレードを始める準備が整いました。
具体的な手順
スクラッチトレードの具体的な手順は以下の通りです。
- エントリーポイントを見極める:通常のトレードと同様に、テクニカル分析やファンダメンタル分析を用いて、エントリーポイントを見極めます。初心者の方は、シンプルな移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロス、RSIの過買い・過売りなどを参考にすると良いでしょう。
- 最小ロットでエントリーする:見極めたエントリーポイントで、最小ロット(通常は0.01ロットや0.1ロット)でエントリーします。初心者の方は、まずは最小ロットから始めることをおすすめします。
- 損益がゼロになるのを待つ:エントリー後は、レートがスプレッド分だけプラス方向に動き、損益がゼロになるのを待ちます。この間、自分の心理状態や身体の変化に注意を向けてみましょう。
- 損益ゼロになったら即決済:損益がゼロになったら、迷わず決済ボタンを押します。「もう少し待てば利益が増えるかも」という欲望を抑え、冷静に決済することが重要です。
- レートが逆行したら即損切り:もしレートが予想と反対方向に動き、含み損が一定以上(例えば2〜3pips)になったら、すぐに損切りします。「もう少し待てば戻るかも」という感情に流されず、冷静に損切りすることが重要です。
- 繰り返す:1〜5の手順を繰り返し行います。同じ通貨ペアでも良いですし、異なる通貨ペアでも構いません。重要なのは、同じルールに従って繰り返し練習することです。
これらの手順を繰り返し行うことで、実際の取引操作に慣れ、心理的プレッシャーへの耐性をつけ、トレード規律が自然と身についていきます。
練習の頻度と期間
スクラッチトレードは、どのくらいの頻度と期間で行えば良いのでしょうか。これは個人の学習ペースや目標によって異なりますが、一般的な目安をご紹介します。
頻度については、週に2〜3回、1回あたり30分〜1時間程度の練習がおすすめです。あまり長時間続けると集中力が低下し、質の高い練習ができなくなってしまいます。短時間でも集中して取り組む方が、効果的な練習になります。
期間については、最低でも1ヶ月程度は継続することをおすすめします。トレードの基本操作に慣れるだけなら1〜2週間程度でも可能ですが、心理的プレッシャーへの耐性をつけたり、トレード規律を身につけたりするには、ある程度の期間が必要です。
また、スクラッチトレードの効果を最大限に引き出すためには、トレード記録をつけることが重要です。日付、時間、通貨ペア、エントリー価格、決済価格、損益だけでなく、「エントリー時にどのような心理状態だったか」「決済時に迷いはなかったか」といった心理面の記録もつけると良いでしょう。
こうした記録を振り返ることで、自分の成長を確認したり、改善点を見つけたりすることができます。
スクラッチトレードと他のFX練習方法の比較
デモトレードとの違い
FX初心者の練習方法として最もポピュラーなのが「デモトレード」です。デモトレードとは、仮想のお金を使って実際の相場で取引の練習ができるシステムのことです。
デモトレードの最大のメリットは、リスクなしで取引の練習ができる点です。実際のお金を使わないので、失敗しても経済的な損失はありません。また、多くのFX会社が無料でデモトレードを提供しているため、気軽に始められるというメリットもあります。
一方、デモトレードの最大の欠点は、実際のお金を使わないため、心理的プレッシャーを体験できない点です。多くのFX初心者が、デモトレードでは冷静に判断できても、リアル口座では感情が先行してしまい、計画通りのトレードができなくなるという問題に直面します。
以下の表は、スクラッチトレードとデモトレードの主な違いをまとめたものです。
比較項目 | スクラッチトレード | デモトレード |
---|---|---|
使用資金 | 実際のお金 | 仮想のお金 |
リスク | 小さい(スプレッド分程度) | なし |
心理的プレッシャー | あり | なし |
取引操作の実践性 | 高い | 中程度 |
約定力の確認 | 可能 | 不可能 |
初期費用 | 少額の資金が必要 | 無料 |
スクラッチトレードとデモトレードは、それぞれ異なる特徴を持っています。初心者の方は、まずデモトレードで基本的な取引の流れを学び、その後スクラッチトレードで実践的なスキルを身につけるという段階的なアプローチがおすすめです。
少額取引との違い
スクラッチトレードと似た練習方法として、「少額取引」があります。少額取引とは、最小ロットで通常のトレードを行う方法です。
少額取引の最大のメリットは、実際のトレードと同じ感覚で練習できる点です。エントリーから決済まで、通常のトレードと同じプロセスを経験することができます。また、小さな利益を得ることも可能です。
一方、少額取引の欠点は、小さいながらも損失のリスクがあることです。特に初心者の場合、適切なタイミングで損切りができずに、想定以上の損失を被ってしまうことがあります。
以下の表は、スクラッチトレードと少額取引の主な違いをまとめたものです。
比較項目 | スクラッチトレード | 少額取引 |
---|---|---|
目的 | 取引操作と心理面の訓練 | 実際のトレード体験 |
リスク | 非常に小さい | 小さい〜中程度 |
利益の可能性 | ほぼなし | あり |
トレード判断 | 最小限(ルールに従う) | 通常通り必要 |
心理的負担 | 小さい | 中程度 |
適している段階 | 初心者〜中級者の基礎固め | 中級者の実践練習 |
スクラッチトレードと少額取引は、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。スクラッチトレードで基本的な操作と心理面の訓練を行った後、少額取引で実際のトレード感覚を養うという流れがおすすめです。
実践例で見るスクラッチトレード
初心者向け実践例
ここでは、FX初心者の方向けに、スクラッチトレードの具体的な実践例をご紹介します。
例えば、ドル円の取引を考えてみましょう。現在のレートが110.000円で、スプレッドが0.3銭(0.003円)だとします。移動平均線のゴールデンクロスが発生し、上昇トレンドが予想されるため、買いでエントリーすることにしました。
最小ロット(0.01ロット)で買いエントリーすると、エントリー直後は0.3銭のスプレッド分、約30円の含み損を抱えた状態からスタートします。ここからレートが上昇し、110.003円になると損益がゼロになります。この時点で迷わず決済ボタンを押します。
もし予想に反してレートが下落した場合は、例えば110.000円から109.997円まで下落した時点(含み損が約60円になった時点)で損切りします。
このような取引を繰り返し行うことで、実際の取引操作に慣れ、心理的プレッシャーへの耐性をつけていきます。初心者の方は、まずは1日に2〜3回程度の取引から始め、徐々に回数を増やしていくと良いでしょう。
中級者向け実践例
ある程度FXの経験がある中級者の方は、より応用的なスクラッチトレードを試してみましょう。
例えば、複数の通貨ペアを同時に取引する「マルチペアスクラッチトレード」があります。これは、相関関係のある通貨ペア(例:ユーロドルとポンドドル)を同時に取引し、片方が損益ゼロになったら両方とも決済するというものです。
また、経済指標発表時のスクラッチトレードも中級者向けの練習方法です。経済指標発表直前にエントリーし、発表後のボラティリティの高い相場でスクラッチトレードを行います。これにより、急変する相場での取引操作に慣れることができます。
さらに、テクニカル指標を組み合わせた高度なエントリー戦略を用いたスクラッチトレードも有効です。例えば、移動平均線、RSI、MACDなど複数の指標が揃った時にエントリーし、スクラッチトレードを行うというものです。
中級者の方は、こうした応用的なスクラッチトレードを通じて、より実践的なスキルを磨いていくことができます。
注意すべきポイント
スクラッチトレードを行う際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。
まず、スクラッチトレードはあくまで練習方法であり、利益を得ることが目的ではないということを常に意識しましょう。「もう少し待てば利益が出るかも」という欲望に流されず、ルールに忠実に従うことが重要です。
また、スクラッチトレードを行う時間帯にも注意が必要です。スプレッドが広がりやすい時間帯(例:欧州市場と米国市場の端境期、経済指標発表直後など)は避け、比較的スプレッドが安定している時間帯を選ぶと良いでしょう。
さらに、スクラッチトレードは短時間で多くの取引を行うため、集中力が低下しやすいという問題があります。長時間続けると判断力が鈍り、ルールを守れなくなってしまう可能性があるため、適度な休憩を取りながら行うことをおすすめします。
最後に、スクラッチトレードはあくまで基礎固めのための練習方法です。ある程度基本操作や心理面の訓練ができたら、徐々に通常のトレードに移行していくことが重要です。スクラッチトレードだけを長期間続けていても、実際のトレードスキルは向上しません。
スクラッチトレードから実践トレードへの移行方法
移行のタイミング
スクラッチトレードから実践トレードへの移行は、どのタイミングで行えば良いのでしょうか。これには明確な基準はありませんが、以下のような状態になったら移行を検討すると良いでしょう。
- 取引操作に十分慣れ、迷わずスムーズに行えるようになった
- 心理的プレッシャーをあまり感じなくなった
- スクラッチトレードのルールを守ることが自然にできるようになった
- 損切りへの抵抗感がほとんどなくなった
- 自分の感情をコントロールできるようになった
これらの状態になったら、徐々に実践トレードへ移行していくタイミングと言えるでしょう。ただし、いきなり大きな金額でのトレードに移行するのではなく、段階的に移行していくことが重要です。
例えば、最初は最小ロットで利益を狙った取引を行い、徐々にロットサイズを大きくしていくというアプローチがおすすめです。また、最初は利益目標と損切りラインを明確に設定し、それに忠実に従うというルールを設けると良いでしょう。
実践トレードで活かすコツ
スクラッチトレードで身につけたスキルを実践トレードで活かすためのコツをいくつかご紹介します。
まず、スクラッチトレードで培った「ルールに忠実に従う」という姿勢を実践トレードでも継続することが重要です。利益目標と損切りラインを事前に設定し、それに従って取引を行いましょう。
また、スクラッチトレードで身についた「小さな損失で素早く損切りする」という習慣も非常に重要です。多くのトレーダーが大きな損失を被るのは、適切なタイミングで損切りができないためです。スクラッチトレードで培った損切りへの抵抗感の少なさを活かし、迷わず損切りができるようにしましょう。
さらに、スクラッチトレードで経験した「感情をコントロールする」というスキルも実践トレードで大いに役立ちます。利益が出ている時の欲望や、損失が出ている時の焦りなど、様々な感情が生じますが、それらに流されずに冷静な判断ができるようになることが重要です。
最後に、スクラッチトレードと同様に、実践トレードでもトレード記録をつけることをおすすめします。日付、時間、通貨ペア、エントリー理由、決済理由、損益、気づいたことなどを記録し、定期的に振り返ることで、自分のトレードスタイルを改善していくことができます。
資金管理の重要性
実践トレードに移行する際に最も重要なのが「資金管理」です。いくら優れたトレード技術を持っていても、適切な資金管理ができなければ、長期的な成功は望めません。
資金管理の基本は、「1回のトレードで失っても良い金額を決める」ということです。一般的には、総資金の1〜2%程度を1回のトレードでのリスク許容額とすることが多いです。
例えば、総資金が10万円の場合、1回のトレードで失っても良い金額は1,000〜2,000円程度となります。この金額を基に、ロットサイズと損切りラインを設定します。
また、連続して損失を出した場合のルールも事前に決めておくことが重要です。例えば、「3連続で損失を出したら、その日のトレードは中止する」「総資金の5%の損失が出たら、一旦トレードを休止して戦略を見直す」といったルールを設けると良いでしょう。
このような資金管理のルールを設け、それに忠実に従うことで、大きな損失を避け、長期的な成功につなげることができます。スクラッチトレードで培った「ルールに忠実に従う」という姿勢が、ここでも大いに役立つのです。
まとめ
スクラッチトレードは、FX初心者がリアル口座で安全に練習できる優れた方法です。実際のお金を使いながらも、リスクを最小限に抑えて取引の基本を身につけることができます。
取引操作に慣れ、心理的プレッシャーへの耐性をつけ、トレード規律を身につけ、損切りへの抵抗感を減らすなど、多くのメリットがあります。
デモトレードや少額取引とは異なる特徴を持ち、それぞれの段階に応じた練習方法を選ぶことが重要です。
スクラッチトレードで基礎を固めた後は、段階的に実践トレードへ移行し、適切な資金管理のもとでトレードスキルを磨いていくことが、FXで成功するための近道と言えるでしょう。
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