債券と株式の違いは?利益の出し方やどちらに投資するべきかを解説!

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お金を増やしたいと思ったとき、多くの方が投資を考えます。その中でも「債券」と「株式」は投資の基本中の基本。でも、この二つの違いをきちんと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

「債券って何?」「株式とどう違うの?」「自分にはどちらが向いているの?」

こんな疑問を持っている方のために、今回は債券と株式の違いについて、わかりやすく解説します。難しい専門用語はできるだけ使わず、初めての方でも理解できるように説明していきますね。

目次

債券と株式、そもそもどう違うの?

投資を始めようと思ったとき、まず目にするのが「債券」と「株式」という言葉です。どちらも資産運用の手段ですが、その性質はまったく異なります。

債券って何?簡単に説明すると…

債券とは、簡単に言えば「お金を貸す証書」です。国や企業がお金を借りるときに発行するもので、購入すると定期的に利息がもらえ、満期になると元本が戻ってきます。

例えば、1万円の債券を買ったとします。年利2%の債券なら、毎年200円の利息が入ってきます。そして10年後の満期には、元本の1万円が戻ってくるという仕組みです。

債券には主に次のような種類があります。

国債:日本政府が発行する債券
地方債:地方自治体が発行する債券
社債:企業が発行する債券
外国債:外国の政府や企業が発行する債券

国債は日本政府が発行するので、安全性が高いと言われています。一方、社債は発行する企業の信用度によってリスクが変わってきます。

株式の基本、これだけは押さえよう

株式は「会社の一部を所有する権利」です。株を買うということは、その会社のオーナーの一人になるということ。会社が成長して利益が出れば、配当金としてその一部を受け取ることができます。

また、会社の価値が上がれば株価も上昇し、買った価格より高く売ることで利益(キャピタルゲイン)を得ることもできます。

例えば、ある会社の株を1株1,000円で10株買ったとします。1年後に株価が1,500円になれば、売却すると5,000円の利益になります。さらに、その間に1株あたり30円の配当があれば、300円の配当金も受け取れるわけです。

株式投資の魅力は、会社の成長とともに大きなリターンが期待できること。ただし、会社の業績が悪化すれば株価は下がり、損失を被る可能性もあります。

債券と株式、どっちがお得?

「債券と株式、どちらがお得なの?」とよく聞かれますが、これは一概には言えません。それぞれの特徴を比較してみましょう。

特徴債券株式
リターン利息(あらかじめ決まっている)配当金+値上がり益(変動する)
リスク比較的低い比較的高い
元本保証満期時に保証(発行体が破綻しなければ)なし
期間決まっている無期限
所有権債権者(お金を貸した人)株主(会社の所有者)

一般的に、債券は安定した収入を求める方や、リスクを抑えたい方に向いています。一方、株式は高いリターンを求める方や、長期的な資産形成を目指す方に向いていると言えるでしょう。

ただし、どちらが「お得」かは、その人の投資目的やリスク許容度、投資期間によって変わってきます。

債券と株式、利益の出し方が全然違う!

債券と株式では、お金を増やす仕組みが根本的に異なります。それぞれの利益の出し方を見ていきましょう。

債券の儲け方、意外と単純

債券からの利益は主に2つあります。

1つ目は「利息収入」です。これは債券を持っているだけで定期的に受け取れるお金で、クーポンとも呼ばれます。例えば、10万円の債券で金利が年1%なら、毎年1,000円の利息が入ってきます。

2つ目は「債券価格の変動による利益」です。債券は満期まで持っていれば元本が戻ってきますが、途中で売買することもできます。市場金利が下がると債券価格は上昇するため、購入時より高く売れる可能性があります。

例えば、金利5%の債券を持っているときに市場金利が3%に下がると、5%の利息がもらえる債券の価値は上がります。このとき売却すれば、値上がり益が得られるのです。

ただし、逆に市場金利が上がると債券価格は下落します。満期まで持てば元本は戻ってきますが、途中で売ると損失が出る可能性があります。

債券投資の基本は「買って持っておく」こと。満期まで持っていれば、市場の変動に関わらず、あらかじめ決められた利息と元本を受け取ることができます。

株式投資、利益を生む2つの方法

株式投資で利益を得る方法は主に2つあります。

1つ目は「配当金」です。会社が利益を上げたとき、その一部を株主に還元するのが配当金。例えば、1株1,000円の株を100株持っていて、1株あたり30円の配当があれば、年間3,000円の配当収入が得られます。

2つ目は「値上がり益(キャピタルゲイン)」です。株価が上昇したときに株を売却すれば、購入価格との差額が利益になります。例えば、1株1,000円で買った株が1,500円になったら、売却すれば1株あたり500円の利益になります。

株式投資の面白さは、会社の成長とともに大きなリターンが期待できること。例えば、10年前にアマゾンやアップルの株を買っていたら、何倍もの値上がり益を得られていたでしょう。

ただし、株価は会社の業績だけでなく、経済情勢や市場心理など様々な要因で変動します。短期的には大きく上下することもあるため、長期的な視点で投資することが重要です。

リスクの違い、どっちが怖い?

債券と株式では、リスクの性質も大きく異なります。

債券のリスクは主に3つあります。

1つ目は「信用リスク」。発行体(国や企業)が破綻すると、元本や利息が支払われなくなる可能性があります。国債は国が発行するので基本的に安全ですが、企業が発行する社債は、その企業の信用度によってリスクが変わります。

2つ目は「金利変動リスク」。市場金利が上昇すると債券価格は下落します。満期まで持てば元本は保証されますが、途中で売却する必要が生じた場合は損失が出る可能性があります。

3つ目は「インフレリスク」。物価が上昇すると、債券からの固定収入の実質的な価値が目減りします。例えば、年利2%の債券を持っていても、インフレ率が3%なら実質的には1%の損失になります。

一方、株式のリスクはさらに多様です。

最も大きいのは「価格変動リスク」。株価は様々な要因で大きく変動し、短期間で大幅に下落することもあります。2008年のリーマンショックでは、世界の株式市場が半分以下の価値になった例もあります。

また、「個別企業リスク」もあります。投資した企業が業績不振や不祥事で株価が暴落したり、最悪の場合は倒産したりする可能性もあります。

このように、一般的には債券の方がリスクは低いと言えますが、それでもリスクはゼロではありません。投資する際は、自分のリスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。

債券と株式、値動きの関係って?

債券と株式は、経済環境によって異なる値動きをすることがあります。この特性を理解すると、効果的な資産配分ができるようになります。

景気が良いとき、悪いときの動き方

景気が良くなると、一般的に株式市場は上昇する傾向があります。企業の業績が向上し、将来の成長期待が高まるからです。

例えば、2012年から2019年にかけての日本の株式市場は、アベノミクスによる景気回復期待から大きく上昇しました。日経平均株価は8,000円台から2万円台へと2倍以上に上昇したのです。

一方、同じ時期の債券市場はどうだったでしょうか。日銀の金融緩和政策により金利は低下し、債券価格は上昇しました。しかし、その上昇率は株式ほど大きくありませんでした。

逆に、景気が悪化すると株価は下落しがちです。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大時には、世界の株式市場が一時的に大幅下落しました。

このとき債券、特に安全性の高い国債は「逃避先」として買われ、価格が上昇する傾向がありました。投資家がリスクを避けて安全資産に資金を移したからです。

このように、債券と株式は景気の変動に対して異なる反応を示すことが多いのです。

経済状況株式の動き債券の動き
景気拡大上昇傾向金利上昇で価格は下落傾向
景気後退下落傾向金利低下で価格は上昇傾向
インフレ加速業種による(素材・エネルギーなどは強い)実質価値が目減りし下落傾向
デフレ下落傾向実質価値が上がり上昇傾向

ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、必ずしもこの通りになるわけではありません。2022年のように、インフレ懸念から株式も債券も同時に下落するケースもあります。

分散投資のコツ、債券と株式をうまく組み合わせよう

債券と株式が異なる値動きをすることを利用して、ポートフォリオ(資産の組み合わせ)のリスクを抑えることができます。これが「分散投資」の考え方です。

例えば、ポートフォリオの60%を株式、40%を債券に配分したとします。株式市場が下落しても、債券が上昇または安定していれば、ポートフォリオ全体の下落幅は抑えられます。

実際、長期的な資産形成では、この「60:40の法則」がよく参考にされます。若いうちはリスクを取れるので株式の比率を高め(例えば80:20)、年齢が上がるにつれて債券の比率を増やしていく(例えば50:50や40:60)という方法も一般的です。

また、債券の中でも国債、社債、外国債券など、株式の中でも国内株、外国株、新興国株など、さらに細かく分散することで、リスクをより効果的に分散できます。

分散投資の効果を示す有名な研究として、米国の金融学者ブリンソンらの研究があります。彼らの研究によると、投資リターンの変動の約90%は資産配分で説明できるとされています。つまり、個別の銘柄選びよりも、債券と株式をどう配分するかの方が重要だということです。

投資初心者の方は、最初から個別銘柄を選ぶのではなく、債券と株式に分散投資できる投資信託やETF(上場投資信託)から始めるのも良い方法です。例えば、バランス型の投資信託なら、プロが債券と株式の配分を考えてくれます。

税金の話、ちょっと難しいけど大事!

投資で利益が出たら税金がかかります。債券と株式では税金の計算方法が異なる部分もあるので、基本を押さえておきましょう。

債券と株式、税金の計算方法の違い

日本では、債券や株式からの所得は「申告分離課税」の対象となり、一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率がかかります。

株式の場合、配当金と売却益(キャピタルゲイン)の両方にこの税率が適用されます。例えば、株式の売却で100万円の利益が出たら、税金は約20万円となります。

債券の場合も基本的には同じですが、いくつか注意点があります。

まず、個人が直接保有する国債や社債の利子には、源泉分離課税が適用され、支払い時に20.315%の税金が天引きされます。これは確定申告の必要がない代わりに、株式投資の損失と相殺できないというデメリットがあります。

一方、債券投資信託の分配金や売却益は株式と同様に申告分離課税となり、確定申告すれば他の金融商品の損益と通算できます。

また、2014年からスタートした「NISA(少額投資非課税制度)」を利用すれば、一定額までの投資から得られる配当金や売却益が非課税になります。2024年からは「新NISA」が始まり、非課税枠が拡大されています。

制度非課税投資枠非課税期間対象商品
新NISA(成長投資枠)年間240万円まで無期限株式・投資信託など
新NISA(つみたて投資枠)年間120万円まで無期限長期・積立・分散投資に適した投資信託

特に長期投資を考えている方は、このNISAを活用することで税金面での大きなメリットが得られます。

損益通算って何?どう活用する?

投資で損失が出ることもあります。そんなとき役立つのが「損益通算」という制度です。

損益通算とは、ある金融商品で出た損失を、別の金融商品で出た利益と相殺できる仕組みです。例えば、株式Aで10万円の利益が出て、株式Bで5万円の損失が出た場合、差し引き5万円の利益に対してのみ課税されます。

この損益通算は、同じ年に発生した異なる金融商品間でも可能です。例えば、株式で損失が出ても、投資信託で利益が出ていれば相殺できます。ただし、先ほど説明したように、源泉分離課税される債券の利子は損益通算の対象外なので注意が必要です。

また、その年の損失を全額相殺しきれなかった場合は、最大3年間繰り越すことができます。これを「損失の繰越控除」と言います。例えば、2023年に株式投資で100万円の損失が出た場合、2024年から2026年までの利益と相殺できるのです。

損益通算や繰越控除を利用するには確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)で取引していても、損益通算や繰越控除を利用する場合は確定申告が必要になります。

税金の話は少し複雑ですが、知っておくと大きな節税につながります。特に複数の金融商品に投資している方は、損益通算の仕組みを活用することで税負担を軽減できる可能性があります。

例えば、年末に株式の評価損が出ている場合、売却して確定損失を出し、他の金融商品の利益と相殺するという方法もあります。ただし、これは税金だけを考えた行動ではなく、投資判断と合わせて検討すべきでしょう。

また、退職金や相続で得た資金を投資する場合など、まとまった資金を一度に投資する際は、税金面も考慮した資産配分を検討することをお勧めします。

まとめ:債券と株式、それぞれの良さを知ろう

債券と株式、どちらが良いかは一概には言えません。それぞれの特徴を理解し、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。

債券は比較的安定した収入が期待でき、リスクを抑えたい方や定期的な収入を求める方に向いています。一方、株式は長期的に見れば高いリターンが期待でき、資産形成を目指す方に向いています。

多くの投資の専門家が推奨するのは、債券と株式を組み合わせた分散投資です。景気の変動に対して異なる動きをする両者を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、安定したリターンを目指すことができます。

投資は長い旅です。一朝一夕で大きな利益を得ようとするのではなく、自分に合った投資方法を見つけ、コツコツと続けていくことが成功への近道かもしれません。


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